栽培における病気
ここでは代表的な病気を取上げました。ウイルス病がラン栽培にとってもっとも危険な伝染病で、完全な防除は困難ではありますが、伝染経路を知り防除すれば極力防ぐことが出来ると思います。
カビ類による病気
- 炭疸病
- 梅雨及び秋雨の季節に多発します。葉面に黒色斑点が現れ徐々に拡大し大きな病斑になります。防除は雨季の初めにダイセン、トップジンMなどを散布。
- サビ病
- 夏から秋にかけて発生します。黄褐色のさび色の胞子が植物を覆う。予防はマンネンブダイセン、ジマンダイセン。治療は石灰硫黄合剤や水和硫黄剤の散布。
- 灰色カビ病(ボトリチス病)
- 梅雨期、低温多湿の時期に発生します。若いやわらかな組織を中心にして、最初は水滴がにじんだ様な状態から変色や脱色した部分が斑点の様にひろがり、最後は灰褐色のかびが密生します。防除はトップジンM、ベンレート、ダコニールなどを散布。
- 白絹病
- 6〜7月と9月を中心に発生します。白い糸のような菌糸が株を中心にして地表にひろがり、進行すれば粟粒大の褐色形の菌核が、株を取り囲んで株は枯死します。防除はベンレート・トップジンMなど散布。被害株は治療不能ですから用土と共に除去し他株への感染を防ぎます。
細菌類による病気
- 軟腐病
- 植物体につけられた傷口から侵入して発生します。発芽期には茎や地際部を中心に、他の時期は主として葉面に、水滴がにじんだような斑点ができ、急速に広がって数日後には全体が腐敗して悪臭を放ちます。治療は不可能です、抜き取って処分します。予防は抗生物質のアグリマイシンやヒトマイシンを散布します。
- 褐斑病
- 高温多湿の時期によく発生します。症状は水滴状の斑点が葉端や葉面に現れ、数日の間に褐色や黒色に変化するとともに、全身にひろがり、とけるような状態で枯死します。治療は期待できませんが、感染部分を切除し抗生物質を散布します。予防は抗生物質のアグリマイシンやヒトマイシンを散布します。
ウイルスによる病気
- シンビジュームモザイクウイルス(CYMV)
- ラン科植物にのみ見出されるウイルスで、数多くの種属に寄生する代表種です。病徴は葉面全体にひろがるモザイク模様と、えそ斑点が葉脈に沿ってひろがったえそ条斑のいずれかが、その合併状態として見出されることが多く、症状によってモザイク病、えそ斑病と呼ばれています。伝染は接触による汁液伝染で、アブラムシによる伝染はありません。70℃で不活性化され、組織外では60日前後で病原性は消失します。
- オドントグロッサム リングスポットウイルス(ORSV)
- ラン科植物にのみ見出されるウイルスで、10数属でその存在が確認されているタバコモザイクウイルスの代表的な系統の1つです。病徴は葉面にリングスポットや、えそ斑点をはじめ、葉脈に沿って現れるモザイク斑などが優勢です、また、花に著しい斑入りを生じるなど変化に富んでいて、カトレアの花の斑入病やシンビジュームのダイヤモンドモットル病などが知られています。伝染は機械的および水による接触伝染で、アブラムシによる伝染はありません。95℃で不活性化されますが、組織外でも長期間にわたって病原性を失わない強力な安定したウイルスです。
- インゲン黄斑モザイクウイルス(BYMV)
- 主としてマメ科の植物に発生が見出されますが、ラン科ではエビネ属を始め数属で発生して、被害がひろがっているジャガイモYウイルス群に属します。モザイク症状・えそ症状・黄斑症状を示す系統のものなどがあり、葉や花に多様な病徴を現します。伝染は口針伝染型で、アブラムシ(モモアカ、ワタ、マメなど)によって媒介されます。60℃で不活性化され、組織外では1週間程度で病原性は消失します。
- キュウリモザイクウイルス(BYMV)
- 本種は宿主植物が200種に及ぶ大きな種で、6系統群が分類されています。ラン科ではエビネ属、デンドロビューム属などに見出されています。病徴は葉面に現れるモザイク斑をはじめ、えそ斑点、境界の鮮明な波型斑、退緑斑紋などか認められます。伝染は口針伝染型で、アブラムシによって媒介されます。70℃で不活性化され、組織外では1ヶ月程度で病原性は消失します。
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| <ウイルス株(かなり進行した症状)> |
<ウイルス株(葉面の濃淡が病徴)> |
<ウイルス株(葉面の濃淡に病徴)> |
ウイルス病の防除
- 栄養繁殖によるもの
- 病徴の認められるものから繁殖した株や球根は、たとえ無病徴であっても扱わないこと。新しく入手した固体は別扱いとし1年間様子をみる。(種子からの繁殖はほとんどウイルスフリーの固体が得られる)
- 生物の媒介によるもの
- アブラムシ対策をすることで防除効果が大きく向上する。予防として飛来を防ぐため寒冷紗や防虫ネットを張る。反射光をきらう性質を利用してアルミを付着させたテープやポリエチレン製の透明フィルムを栽培場内に設置する。駆除するにはオルトラン粒剤などの浸透性の殺虫剤を散布する。ワタアブラムシの場合は薬剤に強いので、除虫菊乳剤やカダンKなどのピレスロイド剤を使用する。
- 手や道具を媒介とするもの
- 株分けや植え替え、花や葉を鋏で切る作業は日常的ですが、固体が無病徴であっても注意が必要です。鉢植えの植え替えは、1鉢ごとに新聞紙などを広げた上で行い、植物の液汁が他株に付着することを防ぐ、手は流水でよく洗う。道具は第3りん酸ソーダ飽和液にて消毒するかライターなどで熱消毒する。用土や鉢の再利用は他の株への使用は避ける。鉢は道具と同様に消毒すれば使用可能。
- 健・病株の接触によるもの
- 病徴の有無にかかわらず植物と植物が接触しないよう管理することが大切です。
- 潅水時の汚染水によるもの
- 感染株があればその鉢から出た水が付着することで伝染することが多いだけに十分注意する。二段棚の下棚などはもっとも危険な場所です。
ウイルス病研究のホームページ
- エビネのウイルスについて詳しく知りたい方は次のホームページへどうぞ